「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
ありのままの事実を、感じた事を全て残しておくことにしました。

出会い

 それから数か月、私は、引っ越す事にした。ただ、引っ越しの理由に猫の事は全く関係なかった。そのマンションは電車の高架橋の隣りに建っていたから凄く音がうるさかったというのが一番の理由だった。でも、新しい住居も、一般的なペット禁止の賃貸マンションに引っ越した。平成十三年、三十一歳の時だった。当時は、ペット可の賃貸物件など全くなかったようにも思う。その後、新しい住居での暮らしにも慣れ、二年ほど経過した頃、とにかく無性に猫を飼いたいと思うようになった。この頃は、社会人生活にも慣れて金銭的精神的にも余裕が出てきた頃で、ずっと我慢していたものが抑えきれなくなっていたように思う。また、時々、ペット禁止なのに内緒で飼っているんだという人の話を、耳にした事もあったような記憶もある。もし、猫を飼ったら部屋の中がどうなるかなんて考えだしたらきりがない。もう我慢出来ないという感じだったと思う。もし部屋に何かあって指摘されれば弁償するしかない。もし猫を飼っている事を指摘されて、退出を命じられたら出て行くしかない。でもそんな事は、二の次三の次だったように思う。とにかく猫を飼いたいんだという気持ちで頭の中がいっぱいだった。ちなみに、飼う猫の種類は、大方、アメリカンショートヘアにしようと思っていた。それは、雑誌などを見て一番好きに思えたからだ。そんな訳で、私は、休日、猫を飼うことを決意して某ペットショップに向かった。 

 自宅の最寄駅から電車に揺られる事、約一時間、お目当てのペットショップのある駅に到着した。都会で、わさわざ一時間も電車に揺られて、なぜ、このペットショップなのか?それは、昔、仕事で飛び込み営業をしていた頃、ふらっと休憩がてらに入店した事があって、その時、たくさんの猫がいる事を知っていたからだ。私は、早速目的のペットショップを目指して歩いた。すると、その途中に別の小さなペットショップがあった。店内に猫は数匹。アメリカンショートヘアは一匹。すやすや寝ている。ただ、この店は、元々目指していた店ではなかったので、とりあえず目的の店に向かうことにした。そしてまた少し歩いていると、また別のペットショップがあった。この店も一店舗目と同じぐらいの小さな店だ。この店にもアメリカンショートヘアは一匹。一店舗目と同じで寝ている。二店舗とも、お目当てのペットショプではなかったけど、一旦、どちらの猫の方が良いか考えてみようと思った。なぜなら、一番に気に入る猫を見つける事が重要であって、別にペットショプに拘る必要なんてなかったからだ。そして、あらためて最初の店に戻ってみた。すると、なんとなく二店舗目の方が良い気がした。どちらの猫も相変わらず寝ていて良く分らないけど、どちらも温厚で大人しそうな猫の気がした。そして、そんな猫との生活が理想でもあった。

 再び、お目当てのペットショップに足を向けて歩く事にした。一店舗目と二店舗目は、それぞれアメリカンショートヘアは一匹ずつだったけど、お目当てのペットショップでは二匹と出会えた。新しく出会った二匹。どちらにするか決めなければならない。まずは一匹目、ゲージの中で元気に動き回っている。そして、しきりに目線を合わせてくる。自分の存在を、とにかくアピールしているようだ。次に二匹目、一匹目と比べれば少し元気さは劣るような気はするものの二匹目も普通に元気な猫だった。一店舗目と二店舗目は、大人しい猫同士だったから、この店では、元気な方の猫が印象に残った。

 二店舗目の大人しそうな猫と元気な猫。とりあえず、もう一度、大人しそうな猫を見に行ってみようと思った。でも、もし、その間に、元気な猫が売れてしまうと困ってしまう。私は、店員さんに購入するかもしれないという意思を伝えてキープをお願いしつつ二店舗の店に戻った。やっぱり大人しく寝ている。目は相変わらず一度も開けてくれない。そんなもんだから元気なのかどうかさえ良く分らない。ただ、もし、この猫と暮らせば平凡で静かなペットとの生活をおくれるだろう。そんな気持ちで店を後にした。そして、また、あの元気な猫に会いに戻った。相変わらず元気だ。この時点で気持ちは元気な猫に傾いた。でも、これから長い付き合いになる。だから、本当に熟慮して決めようと思った。そんな訳で、今度は、あらためて最初の一店舗目から見て回ることにした。一店舗目、二店舗目、そして、また元気な猫の店に戻ってきた。気になるあの猫は、相変わらず元気だ。私に目線を合わせて、一生懸命、自分をアピールしているようだ。決めた。やっぱり元気にこした事はない。元気な方が長生きするだろう。この猫にしよう。この猫しかいない。今でも、あの時の光景も感覚も凄く心に残っている。