「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
事実を、感じた事を、ありのままに全て残すことにしました。

いつも一緒!

 一緒に暮らし始めて数年が経過した。その後の私とぺいは、年月を重ねるごとに、お互いに分り合える関係になっていったように思う。それと、子猫だった頃、隔離して寝ていた事が影響したのかどうかは分らないけど、私が、家の中を移動すると、ぺいも同じ場所に良く移動してきた。例えば、私が、トイレで用を足していれば、トイレのドアを手で開けて中に入ってくるし、お風呂に入れぱ浴室の中に入ってくる。そして、部屋で椅子に座っていたら、椅子の真後ろや真横にいる。本来、猫は自由気ままなはずなのに、ぺいは、とにかく私の近くで過ごしてくれる猫だった。

 例えば、お風呂の話。それは、ぺいと暮らし始めて暫くした頃だったと思う。ある日、私がお風呂の湯船に浸かっていると、浴室の扉の前にぺいの姿が見えた。なんだか中に入りたそうだ。まさか、猫は水が嫌いなはずなのに・・・。そこで、少し扉を開けてみる。すると、なんと浴室に入ってきた。そして、水道の蛇口に口をつけて水を飲んだかと思えば、ユニットバスの淵に座って、私の様子を見たり、湯面の様子を眺めている。そこで、私は、手を湯面から出したり入れたりしてみた。すると、手の大きさが突然大きく見えたり小さく見えたりする。ぺいは、それに興味を引かれて湯船の中に手を突っ込んできた。面白い。その後、私が、お風呂に入ればぺいも必ず浴室に入ってきてくるようになったし、浴室では、そんな遊びが恒例になった。

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 もちろん生活のリズムも一緒だった。私が、夜、寝る前に歯磨きを始めると、ぺいは、寝ていてもパッと起きて、水を飲みに行き、私と同じようにトイレも済ませて一緒に寝るというのが自然の流れになった。人間と同じだ。でも、この流れも、ぺいとの生活が長くなるにつれて逆転する事すらあった。それは、私が、寝る準備をしなくても、ぺいは、いつもと同じ時間に水飲みとトイレを済ませて寝るようになったからだ。元々、猫は、時間に正確らしい。それにしても、猫は夜行性のはず。なのに人間と同じ生活リズムで一緒に寝てくれるなんて嬉しい。私は、ぺいが寝る準備を始める様子を見て、自分も早く寝なきゃと気づかされたし、夜更かしも余程の事がない限りしないようになった。 

 そうして、朝を迎える。さすがに猫は早起きだ。私が起きた時には、大体決まってカーテンの裏の朝日があたる場所にいて外の様子を見ている。そして、私が、目覚ましの音とともに起きてベッドから出ようとすると、ぺいもカーテン裏から待ってましたと出てくる。私が、朝一番にやるべき事は、もちろん自分の事ではない。歯磨きでさえ後回しだ。とにかく、お腹を空かせているぺいに餌と水をあげる事からスタートする。

そして、平日であれば、それから慌ただしく会社に出掛ける準備を始める。いつ頃からだったか記憶にないけど、スーツを着て出掛けようと思うと、ぺいが私の足元に纏わりついてくるようになった。これがまた容赦ない。私を外出させたくないものだから、スボンを噛んで止めようとしたり、とにかく必死なのだ。一度、スボンを破かれてしまった事すらある。それ以来、私は、カバンを闘牛士のマントみたいにして、足元に向かってくるぺいとの間に壁を作って逃げるように部屋から脱出するようになった。そして、玄関のドアを閉めようとすると、ぺいは、もう力及ばずという感じでこちらを見ている。そして私は、「じゃあ、ぺいちゃん、言ってくるよ~!お前の餌を稼いで来るからな~!」なんて事を言いつつドアをゆっくり閉める。平日の朝は、いつもそんな感じだった。でも、こんな光景は、朝から仕事に出掛ける日に限った事だった。きっと、スーツを着て外出した時には、長い時間、戻ってこないという事を知っての事だったのだろう。 

 そうして仕事を終え帰宅する。帰宅の時には、玄関のドアが開く場所で待ち伏せされている事が普通だった。それで、ドアを開けると隙間から外に出て行こうとする。とにかく外に出たいのだ。でも、外には出せないからドアを閉めて部屋の照明を点ける。すると、猫だって周囲が突然明るくなると人間と同じで眩しそうだ。そんな時のぺいの表情も可愛い。私は、だから、「ぺいも眩しいんか~」なんて声を掛けてやる。当然、帰宅した時も、まず猫の事だ。餌をあげると待ってましたと美味しそうに食べる姿が本当に嬉しい。言葉では簡単に表現出来ないほどの嬉しさだ。美味しそうに食べると言えば、時々、ペット用のおやつを食後にあげる事もあった。でも、おやつは人間と同じでクセになるようで、おやつをあげないとイライラしてくる。そんな時、普通の猫だったら、「ニャー」と泣いたり、足元にすり寄ってきたりするだろう。しかし、うちのぺいは、そんな生易しいものではなかった。なんと、不意に私の足をガブっと噛んで一目散に逃げるのだ。すると、私は、なんて猫だ!「こら、ぺい!」と言って捕まえる。捕まえたら、ぺいの口を手で摘んで、「こら、ぺい!悪いのはこの口かー!」と怒る。でも、直ぐに頭をなでなでしてやって、「ぺい、お前、このおやつが欲しいんか?やっぱり、ぺいもおやつ好きだよなー」とか言って、結局、せがまれると、いつも、おやつを与えてしまう。完全に親バカだ。 

 そして、夜、お互いに落ち着くと、恒例のスキンシップタイムがはじまる。もし、私が、忙しくて相手に出来なくても、相手にするまで執拗に求めてくる。例えば、椅子に座っていれば、椅子の背もたれを引っ掻いてくるといった感じだ。そんな訳で、うちの椅子はボロボロになった。ちなみに、スキンシップの順番は大体決まっている。まず最初は、私へのキスから始まる。猫のキスというのは、猫同士が挨拶として親しみを込めて行うもので、敵意がない事を示す行動みたいだ。まさか、私は、猫とは思われていないだろうけど、親しみを持たれている事には違いないみたいだ。そして、その後は、私のお腹の上に乗っかって前脚でお腹をモミモミしてくる。このモミモミにも意味があるらしい。どういう事かというと、子猫は母親のネコがミルクを出すのを促進しようと、生まれた時から本能的にお腹をモミモミするみたいで、それは、猫の最も大きな愛情表現のうちの一つみたいだ。まさか、私は、母親とは思われていないだろうけど、多分、乳離れが完全に出来ていない早い時期に母親から引き離された影響か何かが残っているんだろうと想像すると、なおさら存分にモミモミさせてやりたかった。そして、キスとモミモミが終わったら、今度は、私の胸元付近を服の上から、ひらすら舐めてくれる。時間にすると、五分から十分ぐらい。その間、私は、ぺいの背中をなでなでしてやる。ちなみに、この舐めてくれるという行為は、猫が猫に毛繕いをしている意味と同じらしくて、私を仲間として認めてくれているという証拠のようだ。そういった訳で、キスとモミモミと服舐めという一連の順番でスキンシップが終わる。ぺいは、毎日のスキンシップが至福の時間なのかもしれない。でも、私だって、日中に溜まった仕事の疲れやストレスをリセット出来たし、スキンシップの時間は本当に至福のひとときだった。

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