「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
事実を、感じた事を、ありのままに全て残すことにしました。

嘔吐入院

 それから、約四か月、季節は五月の後半。比較的過ごし易い時期だが、気温の変化は大きかったように思う。そんな週半ばの水曜日、またしても、ぺいが嘔吐した。実は、確か五歳を過ぎたぐらいの頃から、時々、嘔吐するようになっていた。ただ、嘔吐の回数は多くても三回程で、その後は、いつも自然に回復するので、また今回も同じ事だろうと思っていた。翌日の木曜日、まだ嘔吐が止まらない。いつもと違う。少し変だと思った。そして、最初の嘔吐から三日目の金曜日。症状は全く改善しそうにない。木曜日の時点でも嘔吐するものがなく胃液だけ吐いている状態だった。それが、金曜日には、もう吐ける胃液なんてないのに、胃から何かを絞りだすように全身を使って空の嘔吐をしている。とても苦しそうに見えた。明らかに異常だ!でも、仕事の関係で平日に病院につれてゆく事は難しい。

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 そうして、四日目の土曜日を迎えた。私は、朝一番に動物病院の入口に立って開院するのを待った。そう、一分一秒でも早くお医者さんに見てほしかった。そして、真っ先に診察してもらった。四十一・五度。何と、ぺいの体温だそうだ。猫の平熱が何度ぐらいなのかは知る由もなかったが、先生曰く、人間と比べると一度程高いのが普通との事。そして、「このままだと命が危ないです。今すぐ入院させて下さい!」との言葉。命が危ない!まさかそんな状態だったとは・・・。私は、「はい、お願いします」と動揺しつつ即答した。それにしても、ぺいちゃん、お前、そんなに熱があったのか?嘔吐以外にも高熱、そんなに苦しい思いをしてたのか・・・。気づいてやれなくて本当に本当にごめんな。三日間も我慢させてごめんな。心から申し訳なかった。そう、平日だって少し無理をすれば、もう少し早く連れて来る事だって不可能ではなかった。だから、なおさらだった。これからは、どんな事でも少し変だと思ったら、とにかく早めに病院に連れてこよう!そう強く心に誓った。入院は、ひとまず丸三日間だそうだ。あぁ~、ぺいちゃん!頼む、頼むから元気になってくれ~。ぺいの身を病院側に引き渡すと同時に、祈るように元気になってほしいと願った。そうして、病院を後にして一人自宅に戻った。いつもいるはずのぺいがいなくて部屋がもの静かでさびしい。夜になり、あぁ~、今頃、ぺいは、どうしているだろう。熱は下がったかな?峠は越えたかな?命は大丈夫か?色々な事が気になって仕方がない。もちろん外泊も入院するなんて事も初めての事。そうして、いつもの寝る時間になった。今頃、ぺいも寝る頃かな?どうしてるかな?いつも寝る時間が一緒だった。だからそんな事を思った。ぺいも初めての外泊で心細いだろう。その後の体調も様子も全部気になる。そういえば、事前に電話をすれば面会も可能と聞いていた。予定通り、明日、仕事が終わったら面会に行こう。そう心に決めて部屋の明りを消した。

 そして翌日。私は、仕事を定刻きっちりに終えて病院へと急いだ。病院には、面会したい旨を電話で事前に伝えておいた。とりあず、その時に熱は下がった事を聞いた。だから、少し気持ち的には緊張が解けていた。でも、ぺいに早く会いたい。どうしてるだろう?少しでも早く会ってぺいの不安を少しでも和らげでやりたい。そんな事を色々考えながら病院に辿り着いた。早速、病院の受付で面会の受付を済ませると、直ぐに病院の一番奥にある入院用のゲージが並んだ部屋に案内された。部屋の入口に立つと、とあるゲージの中にいるぺいの姿が目に入った。おぉ~ぺいよ~と思いながらゲージの前に立った。ぺいは落ち着かなくて興奮気味にみえる。当然だろう。いきなり全く見ず知らずの人に預けられて、この先、どうなるのか?どうされるのか?不安で仕方ないに違いない。私は、ぺいの名前を呼んだ。すると、ぺいは、落ち着かないながらも私の方に顔を向けてくれた。そして、私と目と目が合った。この時、ぺいの気持ちを手に取るように感じる事が出来た。まさしく目と目で通じ合う、そんな感じだった。ぺいからは、「あっ、また会えた!安心していいんだ!」そんな気持ちが一瞬で伝わってきた。

 そうして、入院する事、丸三日。予定通り退院の日を迎えた。入院一日目に、一度、面会で会って以来だから二日ぶりだ。だから、暫くぶりに会える事が凄く楽しみだった。そして、二日ぶりのぺい。もう随分普通で元気そうだ。でも、数日間に亘る点滴や注射の跡が凄く痛々しく思えた。だけど、元気になった様子が何より嬉しい。私は会計を済ませて、「ぺいちゃん、一緒に家に帰ろ~」と声を掛けて病院を後にした。数日ぶりに自宅に戻ってきたぺい。私は、ぺいを抱き抱えた。いつもなら抱いてくれと要求されてから抱えるようにしているのだけれど、この時ばかりは、自分の気持ちを優先したかった。でも、抱こうとすると、ぺいも、私の気持ちと同じだったようで、私の胸の中に飛び込んできた。そうして、暫く抱いていると、何と、いびきをかきながら胸元で寝てしまった。もちろん、いびきをかきながらなんて初めての事だ。入院中は不安で寝不足だったに違いない。きっと、いつもの場所で、いつものように私に抱かれて、心から安堵出来たに違いない。私は、ぺいが胸元で寝てくれて感無量だった。 

 

 そして、時は流れ半年。ぺいの体調は順調で、特に問題もなく普通に年の瀬を迎える事が出来た。ここで、少し話題を変えたいと思うのだけど、この年、スマホアプリで一筆書きにヒントを得たゲームが流行った。それで、私も友達と点数を競っていた。そしてとある日、ベッドの上でゲームをしていてゲームオーバーになったので、ゲームの画面が表示された状態のままスマホをベッドの上に何気なく置いた。すると、ベッドの上にいたぺいがゲームの画面の中で動くものに関心を示した。そうは言っても、もちろん、ゲームの内容など理解している訳ではない。とにかく、動いているキャラクターなどの動きに反応して、手でスマホの画面の中にいるキャラクターを触ったり、画面を見つめたりしている。おぉ~、これは最高級に癒される。贅沢極まりない光景。私は、デジカメを準備してゲームで遊ぶぺいの写真を何枚も撮った。本当に可愛い。なんて癒されるんだろう!ぺいは、二月生まれだから、まもなく十一歳。猫の平均寿命は、十五歳ぐらいだろうから、この調子だと、きっと、あと、三、四年は大丈夫だろうな・・・。そんな事を思った。

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