「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

三月三日(月)

今日は、手術日。ついでに、あらためて組織病理検査もある。仕事は、有給休暇を取得した。朝起きて、ぺいの様子を見てみると血の混じった涎をツーっと垂らしている。どんどん腫瘍が大きくなって組織が破れて出血してきたようだ。そんな様子のぺいを、午前中につれてきて下さいと先生から言われていたので、一〇時頃、病院に連れていった。私は、前回、先生から扁平上皮癌というキーワードを耳にして以降、四六時中、扁平上皮癌についてインターネットで色々と調べていた。もし、扁平上皮癌でも、早期発見の場合には、助かる確率が高いという事も分かった。私が、初めて病院を訪れた時には、ほんの少しだけ歯肉が赤くなっている程度だった。あれから、まだ一か月も経過していない。それと、そもそも、最初の組織病理検査では扁平上皮癌ではなかった。だから、まだ、扁平上皮癌だと確定もしていない。本当に扁平上皮癌なんだろうか?正直、半信半疑で逆に絶対に癌ではないと信じたかった。しかし、もう腫瘍は、かなり膨らんでいる。受付を済ませて暫くすると名前が呼ばれた。手術は、十四時から開始との事で、ぺいを預けた。病院からは、また、夕方迎えに来て下さいとの事。私は、もし、ぺいが扁平上皮癌だったとしても、今まで可能な限り早く対応してきたから大丈夫なはずだ。そう、信じたかった。そして、ぺいは絶対に助かる。そう祈った。そして、手術が無事に終わる事だけを考えて過ごした。

 

そして、手術開始の十四時を十五分程過ぎた頃、携帯電話が鳴った。病院からだ。いったい何だろう?手術が無事に終わったにしては早過ぎる。そもそも、手術の結果を連絡するなんて事も聞いてない。そんな事を思いながら電話に出てみる。すると、「麻酔をして腫瘍を見てみたところ思ったより腫瘍が大きくて、うちの病院では手に負えないです」との話。私は、まさかの展開に言葉を失った。そして、少し間をおいて何とか声を搾り出した。「あっ、はい。そうですか」すると、先生からは、「そういう事ですので、お迎えに来て下さい。今後については、その時ご相談しましょう」との事。私は、「分りました」と、答えて電話を切った。

 

 そうして、すっかり日が暮れた十九時過ぎ。ぺいを迎えに病院へ行った。病院では、ぺいの口腔写真を見せてもらった。そして、「うちの病院では手に負えませんが、もっと大きな病院であれば手術出来ると思います。どうされますか?」との事。そして、もし、手術をするのなら、A大学附属病院、T動物医療センターの順で、お勧めしたいとの話。ちなみに、必要になる医療費は、手術と放射線治療など全て合算すると、いずれの病院でも、百万円ほど必要になるそうだ。ちなみに自宅からの距離は、A大学附属病院までは電車で片道二時間、T動物医療センターだと三十分ほど。先生としては、遠くてもA大学附属病院の方をお勧めしたいとの事。私は、とにかく、ぺいの命を助けたかったので、遠くても先生が一番に推奨するA大学附属病院で手術をしたいという意向を伝えた。ただ、この日は、もう夜間であり、病院の受付は終了しているとの事で、明日、朝一番で確認して貰って、手術可能な最速日を連絡頂ける事になった。それと、手術と一緒に予定していた組織病理検査については、麻酔をしたついでに腫瘍の細胞を採取したとの事で、前回同様、検査結果は、一週間程度で分かるとの説明だった。組織病理検査の結果についても、分かり次第、電話で連絡を頂けるようだ。それにしても、なかなか思うように事が進展しない。早く安心したいのに。私は、そんな事を思いながら病院を後にした。

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