「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

T動物医療センター

全ての生き物に必ずいつかは訪れる死。そんな事は分っている。だけど、そんな事、意識する事もなく過ぎ去っていった時間。その過ぎ去っていった時間は二度と繰り返されない。それは、これから訪れる時間でも同じこと。ぺいは、あと、どれ位、この世にいられるのだろうか?そんな事は分からない。でも、ぺいが癌かもしれないと分った時、思った事がある。それは、残された時間が、多かろうと少なかろうと、常に与えられている大切な時間というものを、日々、噛みしめるように何かに変えてゆく事の大切さだ。

 

最終的に、私は、ペットの保険にも入っていないのに、多額のお金を掛けて手術をすることを決意した。その理由は一つだけだった。それは、手術をすれば助かる可能性があるという希望に他ならなかった。口の癌は、外科的切除と放射線治療の組み合わせで再発を抑え込む事が出来るかもしれない。肺への転移だって、本当に転移していたら拙いけど、現時点では、可能性が高いという推測でしかない。だとしたら、もしかしてという事だってありえる。私は、そんな希望が、たとえ、0.一%でもあるならと思ったのだ。世の中に絶対はない。そう信じたかったのだ。命とは、かけがえのないもので、一度失ったら二度と取り返しのつかないもの。ただ、完治の可能性が低いからというだけで、元気になれるかもしれない希望を早々に見切って、ぺいを見捨ててしまうなんて何がどう転んでも出来なかった。また、もし極僅かな可能性だとしても、それを見切ってしまうという事は、愛するぺいを私自身が殺してしまうのと、全く同じ事のように思えた。