「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

三月二十三日(日)

今日は、入院当初から母と一緒に面会に行く約束をしていた日。手術から五日経過したので、きっと、術後の痛みもある程度治まって、周りの環境にも慣れてきた頃に違いない。この日は、ぺいと、たっぷり一緒の時間を過ごしたかったから、面会開始時間と同時に受付を済ませた。暫く持っていると、前回と同じように助手の先生が、ぺいを運んできてくれた。やはり、手術翌日に面会した時と違って随分落ち着いている。何度も自然に目線を合わせる事が出来た。それが、凄く嬉しかった。そして、「これから、どんどん良くなるからな~」そういった言葉を母と一緒にぺいに何度も届けながら、身体をやさしく何度も撫でてやった。ぺい自身は、手術をした事で顎の形が変わっていたり、お腹には、胃瘻チューブがついていたりするけど、私は、とにかく、元気なぺいが戻ってきたという事が本当に嬉しかった。ひとまず、命を繋げてやれて良かった。頭の中には、とめどもなく明るい未来や希望が溢れた。

 

 そうして、待合室で面会をしていると、ふと、外で他にも面会をしている人がいて、その人は、待合室と繋がった外の広いベランダで犬と一緒に楽しそうに過ごしている。あっ、あんなところでも面会出来るのか!ぺいは、家でも良くベランダに出ていた。きっと、ぺいも外の風を感じられると嬉しいはずだ。我々も、犬と面会している人と入れ替わりでベランダに出て、ベランダに置かれていた青いベンチに座ってみた。ぺいは、そのベンチの上で、とても気持ち良さそうにしている。暫くすると、ベランダの手すりに小鳥がとまった。すると、ぺいも小鳥が動く様子を見ている。私は、ぺいの近くで、今、ぺいが感じている喜びを少しでも多く共有したいと思って、ぺいの目線と同じ高さになるように自分の顔をぺいの顔の横に近づけてみた。今日は、天気が良くて、そよ風が吹いていて凄く気持ちの良い日。そして、小鳥も近くにいる。私は、ぺいの身体を撫でながら、「ぺい、気持ちいいな」「ぺい、良かったな」「ぺい、幸せだよな」そんな言葉を何度も掛け続けた。そうして、ぺいの喜びを、私は、全身で感じながら至福のひと時を過ごした。結局、この日の面会では、ぺいと三時間以上も一緒に過ごした。

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