「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
ありのままの事実を、感じた事を全て残しておくことにしました。

三月二十六日(水)

 今日は待望の退院日。入院期間は、結局、ほぼ予定通りの十日間になった。また、ぺいと一緒に暮らせるかと思うと、朝から嬉しくて仕方がなかった。退院手続きは、朝の九時に来て下さいとの事だったので、仕事は、急遽休暇を取った。そして、九時前に病院に到着して受付を済ませた。暫く待っていると名前が呼ばれた。 

 診察室に入ると、予定通り手術が完了して術後の経過も順調であるという事と、食事も口から食べ始めたという説明があった。そして、今後の治療方針について説明を受けた。まず、放射線治療をするかしないかについて。癌細胞が手術で縫合した境目近辺に散在して残っていると思われるという説明があった。それは、少しでも多く顎の肉を残すために、癌の腫瘍と正常な細胞とのギリギリのラインを切除したからだ。そういった訳で、その近辺に対して重点的に放射線を照射して癌の再発を防ぎたいという説明があった。ちなみに、照射するサイクルは、一週間に、一回~二回、延べ八回程度が目安になるそうだ。また、一回あたりの費用は、約二万円程になるとの事。ちなみに、一回目の照射は、手術の時に実施したそうだ。私は、先生の説明を聞いた上で、手術だけ実施して、これから先、放射線治療を実施しないという選択肢などあり得ないと思ったので、放射線治療を継続してゆきたいという意思を伝えた。それと、今日、ついでに放射線治療の二回目を、お願い出来ないかと尋ねた。すると、まだ手術をしてから日数が経過していないので、それは、体に与える負担が大きくて無理という事だった。ただ、一週間後であれば問題ないそうだ。ちなみに、放射線治療は予約制という事なので、私は、早速、予約をお願いした。 

 次に、これから先、放射線治療の期間中に一度か二度、あらためて、全身のCTスキャンを実施したいという話があった。その理由は、特に、肺に癌が本当に転移しているかどうかを判定するためとの事。もし、転移していれば、現時点で、癌かどうか疑わしい白い影が大きくなっている可能性があるそうだ。なぜ、可能性という曖昧な表現かというと、癌細胞も成長スピードが様々らしいのだ。ちなみに、顎と違って、肺に転移していた場合、肺への放射線治療は難しいとの説明があった。一旦、肺へ転移してしまったら全身への転移は免れないそうだ。私は先生に、もし肺への転移が明確になったら、その時点で、下顎への放射線治療は打ち切りたいという事を伝えた。 

 最後に、抗がん剤治療をどうするかについて。まず、扁平上皮癌には、殆ど効果が見込めないという説明を聞いた。また、抗がん剤は、放射治療よりも体への負担が大きいそうで、効果の面から考えても、おすすめ出来ないそうだ。私は、ぺいを無駄に苦しめるような事はしたくなかったので、先生の言う通り抗がん剤治療については、実施しないという事を伝えた。 

 ちなみに、私の方からも、予め先生に確認しておきたい事が幾つかあった。まず一つ目は、猫に冬虫夏草を与えても問題ないかという事について。インターネットで癌の事について色々と調べていると、癌の治療法には、免疫療法というものがあって、免疫療法にも様々なものがある事が分った。冬虫夏草というのは、そのうちの一つだった。これについては、「別に構いません」「ただ、与え過ぎには注意して下さい」というアドバイスを頂いた。

 次に、下顎の抜糸時期について。これについては、手術から二~三週間経過した後に実施予定との事。 

 三つ目は、胃瘻チューブを取り外す時期について。これについては、口から食事が出来るようになれば不要になるとの事。但し、取り外す時は、手術も不要で簡単だけど、一度外してしまうと、再び設置する時には、あらためて全身麻酔が必要になるという説明があった。私は、当面は、口からの食事に問題なくても、今後、顎を引っ張って縫い合わせている関係上、噛み合わせが悪くなったりする事がありそうだし、とりあえず念の為、当面は、そのままにしておこうと思った。そうして、先生から色々な説明を聞いたり、私も、色々と質問して診察室をぺいと一緒に出た。そして、覚悟していた会計を済ませて病院を後にした。ちなみに、手術代は、手術前の事前検査も含めて、約五十万円掛った。

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 そうして、ぺいと一緒に十日ぶりに自宅に戻ってきた。本当に嬉しい。ぺいは、布団に鼻をつけて懐かしい匂いをシミジミ感じているように見える。住み慣れた我が家。きっと、心から安堵出来るのだろう。幸せを噛みしめるようにベッドの上でまったりしている。きっと、手術や放射線治療、そして入院の疲れなどもあるのだろう。入院前には、負けん気に満ちた力が目に宿っていたけど、今は、本当に弱々しい。

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 そういえば、手術しても涎が少し垂れている。これは、先生からも手術前に聞いていたけど、顎を縫合した関係で口の形状にどうしても無理が生じてしまうからだ。もしかすればと期待していたのだけど、やっぱり、こればっかりは仕方のない事のようだ。ちなみに食事を与えてみたものの、全く食べてくれなかった。疲れているのかな?仕方ない。早速だけど、お腹から出ている胃瘻チューブに、病院から説明を受けた方法でシリンジを使って療法食を注入した。 

 この日、自宅に戻ってからは、私は、ぺいに声を掛けたり体を触るのは控えた。それは、何にも気を遣う事なく、ゆっくりくつろいで、手術と長かった入院の疲れを癒してほしかったからだ。そうこうしているうちに消灯の時間になった。手術が終わって無事退院というおめでたい日も終わり。「さぁ、ぺい、寝るよーおやすみー」と、声を掛けた。久々に一緒に寝られる。そんな喜びを噛みしめながら…。