三月三十日(日)
日曜なので仕事は休み。今日は、一日中、ぺいと一緒に過ごそうと決めていた。大切なぺいが、癌によって命を奪われる心配がなくなる日まで、とにかく一分一秒でも多くの時間を一緒に過ごしたかったからだ。それと、これから先、休日は、極力予定を入れないようにしようと決めた。もちろん、平日も、幾ら仕事が忙しくたって、余程の事がない限り、毎日定時に退社する事にした。私が、今、人生で一番大切にしたいもの、大切にすべきものは、お金や仕事なんかではない。それは、とにかく、ぺいと一緒に過ごす時間に他ならない。これからの人生の中で、お金や仕事を、もし失ったとしても、長い人生の中では、いくらでも挽回する機会なんてある。でも、ぺいと一緒に過ごせる時間は、どんなに願っても二度と取り戻せない。ぺいは、そんな私の気持ちを察してくれたのかもしれない。私が、ベッドの上でくつろいでいたら胸元に寄ってきた。スキンシップを求めてきたのは、退院以降、五日目で初めての事だ。そして、私の胸の上で眠りはじめた。きっと、ぺいも退院して少し痛みも落ち着いてきて至福のひと時なんだろう。気のせいか表情や仕草が幸せそうに見える。私も、今日は、そんなぺいの様子を見る事が出来て本当に良かった。