「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

七月二十日(日)

今日は、ぺいとずっと一緒に過ごせる日。休日だ。そんな訳で、自宅にいると母がやって来た。母は、ぺいの事が気になるようで、ぺいの退院後も、だいたい週に二回、様子を見に来るようになった。ところで、数年前の事になるけど、母が、蝉を捕まえてきた時、ぺいは、蝉の鳴く音や羽のバタバタする音に反応して、目の色を変えて飛び跳ねるように遊んだ。そして、その後、母は、毎年、夏の時期になると、良く蝉を捕まえてくるようになったのだけど、そんな流れで、今年も蝉を捕まえてきてくれたのだ。母が蝉を部屋に放つと、ぺいは、目の色を変えて遊んでいる。今年、母は、どんな気持ちで蝉を捕まえてきてくれたのだろうか?今までとは、決して同じ気持ちではないはずだ。ぺいに残された時間は限られている。だから少しでも楽しく過ごしてほしい。蝉と遊んで気を紛らわしてほしい。そんな気持ちで捕まえてきてくれたに違いない。ぺいだって、いつもと同じように遊んでいるけど、蝉と遊んでいる間は、癌の痛みや苦しみを一瞬でも忘れられて嬉しいはずだ。ぺいが嬉しければ、私も嬉しい。ぺいの幸せは、私の幸せ。でも、この大切な時間は、本当にかけがえのない大切な時間。きっと、来年の夏には繰り返されない。そんな事が一瞬脳裏を過った。悲しい。急に悲しくて複雑な気持ちになった。私には、奇跡を願う事ぐらいの事しか出来ないのか?