「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
ありのままの事実を、感じた事を全て残しておくことにしました。

七月二十七日(日)

 母が蝉を摑まえてきた。今年は、我が家に来るたび毎回のように捕まえてくる。それにしても、今日、捕まえてきた蝉は、かなり元気が良い。ただ、この前までは、あれだけ目の色を変えて無邪気に遊んでいたのに、今日は遊ぶ時間が極端に少なかった。二、三回だけ手で突っついて終わり。本当にそれだけだった。私と母は、「さすがにもう飽きたのかな?」と話をした。そうして、 二時間ほど過ぎ、母は、帰り支度を始めた。そして、「ぺいちゃん、また来るからね~」と、話しながら玄関の方に歩いてゆく。私は、ぺいに対して、世話になった人なんだから、きちんと見送りしないとダメだよという気持ちをこめて、「ぺいちゃん、帰るってよ~」と、声にした。すると、ぺいは、どれだけ理解しているのか分らないけど、母の後を追うように玄関に尻尾を軽く振りながら歩いていく。そして、母が出て行くのを見送った。私は、嬉しかった。実は、ぺいが元気な時には、母が帰る時に見送りをするなんて事は一度もなかったように記憶している。いつも、ベッドの上で寝たままだったり、部屋の中から母が出て行くのを眺めているだけだった。それなのに、今日は、癌で辛いだろうに、わざわざ歩いて見送りをしている。きっと、母のぺいを思う気持ちが、伝わったからこそだろうと思った。もしかしたら、ぺいは、自分の余命が短いという事も悟ってるのかもしれない。母を見送るぺいの後姿を眺めながら、「ありがとう!」という気持ちを伝えているように見えた。