「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

八月三日(日)

もう季節は完全に夏。そういえば、八月に入った頃から、あれほど臭っていた腐敗臭が急に消えている。それで、ぺいの様子を見てみる。下顎は完全になくなっている。そして、癌による腐敗は、ほぼ、喉にまで達している。私は、もしかしたら、下顎の組織と喉の組織は少し異なっていて、それで、癌の浸潤は遅くなるか、止まるかのいずれかで、それで、腐敗臭が消えたのではと思った。でも、もし、ここで癌の浸潤が止まったとしたら、ぺいは、下顎のない舌が垂直に垂れ下がった状態で何年も生きてゆかなければならない。もし本当にそうなったとしたら過酷で非常に辛い余生を過ごす事になってしまう。でも、癌の浸潤さえ止まれば、何とか命だけは失わずに済む。私は、もし、奇跡的に助かったとしたら、どんなに世話が大変だとしても、ありったけの愛情で最期まで献身していこう、そう心に誓った。

 

 ところで、腐敗臭が消えた頃と時期を同じくして、夏の暑さが本格的になってきた。今までは、臭いが部屋にこもらないようにするのと、部屋の中を暑くしないように、日中は、窓を開け放しで外出してきた。しかし、今日は、早朝から凄く暑い。日中は、窓を開けていても耐えられない暑さになりそうだ。そこで、私は、窓を閉めてクーラーをつけて外出する事にした。ぺいは、癌の痛みに耐えるだけでも辛いだろう。せめて快適な気温の部屋で過ごしてほしかった。それにしても、もし、腐敗臭が酷いままだったら、暑くても強烈な臭いが部屋に染み付いてしまうから、さすがに窓を閉め切って出掛ける事なんて出来なかった。だから、本当に腐敗臭がなくなるタイミングと暑くなるタイミングが合致したのが幸いだった。そういえば、腐敗臭が消えたので、忌わしい蛾やハエは、窓を開けていても部屋の中に入ってこなくなった。