「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

八月九日(土)

いつも通りに仕事を終えて帰宅。部屋で暫く過ごした後、あらためて外出しようと玄関に向かった時だった。少し床面に違和感があった。何かと思って近寄ってみると、血や腐敗したものが床面に付着している。これは、少し前、ぺいが横たわっていた場所だ。下顎が完全になくなった事で、最近、床面に口が直接あたるようになったからだろう。それで、いつものように汚れを取り除こうとした時、いつもと何か違う違和感があった。え?何か白い動く物体が・・・。その場に腰を下ろして良く見てみると、なんと蛆虫。もちろん部屋の中で蛆虫を目にした事なんて始めてだ。私は、腐敗物を目当てに、どこからともなく蛆虫が湧いてきたのだと思った。蛆虫が湧いてくるとは良く言ったものだ。そんな事を思いつつ、蛆虫は、ティシュで摘んでトイレに流した。

 

その後、再び外出先から帰宅。直ぐにベランダへ出る窓を全開にした。最近、いつも家にいる時は、腐敗臭の換気と、ぺいに余生を少しでも自由に過ごしてほしいと思って、開けっ放しにしている。そして、それから暫く時間が経ち、ふと、ぺいの様子が気になったので周囲を見渡してみると、ベランダの柵の外側にまで身体を乗りだしている。今にも下に落ちそうだ。こんな事、過去に一度もなかった。私の住んでいる階は高い場所だから、ぺいにも恐怖心がある。それは、過去の行動を見ていて分かっていた。それなのに、どうしたのか?どうせ死ぬんだからと自暴自棄になっているのか?それとも思考能力が低下して興味の向くまま怖いもの知らずの行動なのか?さすがにどちらかは分らない。だけど、私には、何となく後者のように思えた。もしかすると、そう思いたかったのかもしれない。私は、ぺいの両脇を抱えて、「ぺいちゃん危ないでしょ!」と、言い聞かせながら部屋の中に連れ戻した。

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