「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
ありのままの事実を、感じた事を全て残しておくことにしました。

八月十日(日)

 休日なので母が来た。このところ、毎週、水曜と日曜日には、欠かさずぺいの様子を見に来てくれている。母は、電車で何度となく通院させていたら情が移ってしまって、以降、様子が気になって仕方がないと話してくれた。正直、そう言ってもらえると凄く嬉しい。私は、ぺいの事について色々話した。例えば、先日、ふと、思った事を話した。それは、夏真っ盛りなのに、今年は、季節の変わり目にも夏になっても毛が全然抜けなかったという事だ。爪だって退院した時に切ったけど、あれからもう五か月も経ったのに全然伸びていない。毛も爪も抜けたり伸びたりしないのは、癌が栄養を優先的に根こそぎ奪い取っているせいだろう。でも、唯一、手術の際に根元付近まで切られた左側のヒゲだけは完全に元に戻っている。私は、手術の際に剃られた腹部の毛が、いつ元に戻る事も気になっていたけど、猫のシンポルであるヒゲの方が気になっていたから、これは、正直、凄く嬉しかった。そして、きっと、ヒゲだけ元に戻るという事は、やっぱり、ヒゲは、猫にとって余程大切なものなんだろうと思った。でも、せっかくヒゲは元に戻ったというのに、癌は容赦なく身体を蝕んでいる。癌さえ再発しなければ、本当にどれほど幸せだった事か・・・。そんな事を母に話した。

 そうして、その後、日は暮れて夜になった。すると、また、ぺいが廊下に出たそうにしている。私は、直ぐに廊下に出してやる事にした。今回で、三回目になる。暫く、ぺいの様子を見ていると、前回と同じように廊下を端から端まで歩いたり、時には立ち止まったりしながら過ごしている。そして、立ち止まった時には、眼下の光景を興味深く、それでいて感慨深く眺めているように思えた。そうして、五分ほど経った頃、開けっぱなしにしていたドアの隙間から部屋の中に自らの意思で戻ってきた。過去二回、廊下に出した時には、私が強制的に部屋に戻していたから、今日は、外の世界を思う存分に堪能出来たのだろうと思った。そして、そんな事を思うと、自分自身におきた出来事のように凄く嬉しかった。