「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
ありのままの事実を、感じた事を全て残しておくことにしました。

八月十八日(月)

  どんどん腐敗が進んでいる。癌は腐敗して居場所がなくなりそうになると新天地を求めて隣へ隣へと移動してゆく。そして、元々、全く問題のなかった場所も腐敗させてゆく。だから、腐敗というよりは身体が溶けてゆくという感覚の方が近い。私の大切な、私の愛するぺいの身体が容赦なく癌で溶かされてゆく。夜になり、三か月ほど着けてきた涎掛けを外す事にした。それは、残念だけど涎が止まったからではない。腐敗が限りなく喉にまで侵食してきたからだ。このまま涎掛けを首に巻いていると、涎掛けの布が侵食された箇所に直接触れてしまう。そうすると擦れて痛いだろうと思った。ついに、もう涎掛けを首に巻く事さえ出来ない。それほどまでに腐敗が進行してしまった。

 この先、本当に、どうなってしまうのか?夜の十二時前、ぺいは、ベッドの上にいる。うつ伏せ状態で目は殆ど閉じていて辛そうにしている。下顎がないから上顎が直接ベッドに接している。だから、舌は完全に折れ曲がって百八十度逆向きに反り返っている。本当に痛々しくて見ていられない。そんなぺいに注意を払いながら様子を見ていると、「うぅ~」という小さい声が聞こえてきた。苦しそうな声。「苦しいよぉ~、まだ生きてたいよぉ~」私には、そう聞こえた。私は、思わず「ぺぃ~」と、小さい声で応えてやった。この時、私の思いは一つだけだった。それは、ぺいの苦しさも気持ちも全部分っているよ。今、直ぐそばで寄り添っているよ。ぺいの全てを温かい気持ちで包んでいるよ。そんな思いだった。もう、手で撫でてやる事も、ぺいの名前を呼ぶ事も出来ない。それほどまでに容態が悪化している。だから、私は、ぺいの声に応えて、やさしく声を返すのが精一杯だった。