「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
事実を、感じた事を、ありのままに全て包み隠さず残します。

■エピローグ

正直、書くのが辛かった。 もう、これ以上書くのは、精神的に無理・・・。そして、過去を、記憶を、振り返ることが、あまりにも辛くて筆の進まない時期が数えきれないほどあった。特に後半の第四章以降は、何度も涙を流しながら、ある時は、涙をこらえながら…

変らないもの

間もなく、ぺいが旅立った日から二年半が経とうとしている。そして、もし、今も生きていてくれていたなら、今日は、十四歳の誕生日。きっと、どんなスペシャルメニューでお祝いしようか、一週間ほど前から色々と頭に思い描いていたはずだ。そして、そんな食…

祈りの場便り

仏具を取り揃えたインターネット上の某ショップには、「祈りの場便り」というコーナーが設けられていて仏具を購入する際に拝見したことがあった。そのコーナーでは、そのショップで仏具などを購入した人が、旅立ったペットへの思いを投稿していて、ペットの…

アルバム

アルバムの購入をどうするか、丸一日、考えてみた。だけど、特に心境に変化は起きなかった。そんな訳で、帰宅後、直ぐに注文することにした。それは、一周忌にすべき事として、少しでも早くアルバムを完成させたかったからだ。そして、その後、一周忌から四…

一周忌

あの日から一年。これまでの一年という時間は、ぺいと別れることになった最後の一年を、再び辿るかのようで辛い日々だった。そうして迎えた命日という特別な日。絶対に、とびっきり立派で、世界一、人間から愛されていた猫に相応しい命日にしてやるからな!…

雨降り地区

心の中でぺいのことを思ってさえいれば、今も変らず生きている。最近は、そう自分に言い聞かせながら過ごしている。でも、本当に一緒に暮らしていた時には、ペットフードを与えれば、もっと美味しいものをよこせと催促してきたり、外出しようとすると、それ…

いつまでも一緒

ぺいが旅立ってから、まもなく一年が経とうとしている。それでも、相変わらず、夜になると、ぺいの事が忘れられずに、毎日、生前に撮ったぺいの動画を見ている。そして、動画を見ていると、週に二日か三日は、思いっきり大粒の涙が溢れてくる。そういえば、…

かくれんぼ

「ぺい、いつまで隠れてんの?」「出てこいよ~、ぺい」「・・・。」「ダメだよ~、いい加減出てこないと・・・」 帰宅して玄関のドアを開けても部屋の中は静まりかえっている。もう、ぺいが旅立ってから半年以上が経った。どこを探してみたって、どこにも居…

引っ越し

あの日から二か月。トイレの砂、食器、爪研ぎ・・・、ぺいが使っていたものは、何一つとして動かさないでいた。それは、一つ一つ、全ての物が、ぺいの一部のような気がして、ずっと、このままにしておこうと思ったからだ。もちろん、それらを目にすると、寂…

楽しい思い出の意味

月命日の翌日、朝、いつものように仏壇に供えてある水を取り替えた。そう、仏具が届いてからは、朝晩、生前と同じように毎日欠かさず新鮮な水に取り替えている。それにしても、前日の余韻が思いっきり残っている。でも、今日は仕事だ。気持ちを切り替えなけ…

月命日

あの日から一か月が経った。大切な月命日は、秋分の日で祝日という巡り合せ。これも偶然なのだろうか?とにかく、仕事が休みなので、一日中、ぺいの事だけを考えて過ごせるという事が心の底から凄く嬉しかった。まずは、朝起きて、花屋さんが開店する時間を…

初七日

ピンポーン「〇〇運輸ですが・・・」ぺいが旅立って四日目の夜にインターネットで注文していた猫用の仏壇と仏具が届いた。そう、あの日、火葬を終えて家に戻り、部屋の棚の上に骨壺と写真立て、そして、造花を並べて置いてみたけど、骨壺は、ずっと手元に置…

十一年と百十八日

ぺいが旅立って二日目。とてつもなく悲しい。悲しくて悲しくて仕方がない。ぺいが生まれたのは、二〇〇三年の二月十日。どれだけの日数を生きていたのだろうか?インターネットで日数計算というキーワードで検索してみると、計算の出来るサイトがあったので…

■第五章 神様からの贈り物

そもそも、命に永遠なんてない。いつか別れが訪れる事は覚悟していた。出会いがあれば必ず別れが訪れる。それは、仕方のない事。そんな事、頭では良く分っている。でも、本当に別れが現実になると、とてつもなく悲しくて悲しくて仕方がない。こんなにも悲し…

八月二十四日(日)

気づくと朝を迎えていた。昨夜は一度も目が覚める事なく熟睡した。もちろん、疲れていたのかもしれない。でも、それよりも、ぺいが、やっと痛みや苦しみから解放されて安らかに眠っている事に安堵出来たように思えた。それにしても、やっぱり、夜が明けても…

八月二十三日(土)

昨晩は寝るのが遅かった。だから、いつもより少し遅めに起きた。そして、真っ先にぺいの姿を探した。良かった!まだ生きてる。ただ、異様な恰好は、昨晩と何も変わっていない。でも、まだ、ぺいの命は、自分と同じ、この世にある。だからこそ、今日も、一秒…

■第四章 虹の橋

いくら楽しい思い出を作っても、いくら嫌な思い出があっても、死んだら全てが灰になってなくなる。きっと、魂なんて妄想の産物に過ぎない。それなのに、何のために、楽しい思い出を作ろうとするのか?楽しい思い出を作る事に何の意味があるのか?

八月二十二日(金)

起床と同時にぺいの姿を探した。良かった。まだ生きている。ただ、朝起きてみると、部屋の中に血溜まりが三か所もあった。またしても昨晩から始まった酷い出血が止まっていない。朝一番に血溜まりを拭き取って水場の水を取り替えた。それと、朝食の注入は、…

八月二十一日(木)

今朝も起床と同時に緊張しながらぺいの姿を探した。もう、こんな朝が一週間も続いている。それにしても、昨晩もぺいの事が気になって殆ど眠れなかった。今日も頑張って生きてくれている。でも、容態は日に日に目に見えて悪化している。とても、単純には喜べ…

八月二十日(水)

朝起きて真っ先にぺいの姿を緊張しながら探した。容態が悪くなっているから凄く緊張する。直ぐにフローリングの床面に姿を見つける事が出来た。しかし、死んだように横になっている。もしかして...。少し焦った。でも、良く見てみると、お腹が弱々しいながら…

八月十九日(火)

昨晩は、今までで一番徘徊が酷かった。夜中の間、ずっと、三十秒置きぐらいの感覚で一晩中ベッドに上がったり床に下りたりを繰り返していた。ベッドに何度も上がってくるという事は、本当は寝不足で、ゆっくり眠りたいのだろう。でも、痛くて苦しくて、じっ…

八月十八日(月)

どんどん腐敗が進んでいる。癌は腐敗して居場所がなくなりそうになると新天地を求めて隣へ隣へと移動してゆく。そして、元々、全く問題のなかった場所も腐敗させてゆく。だから、腐敗というよりは身体が溶けてゆくという感覚の方が近い。私の大切な、私の愛…

八月十七日(日)

朝、起きてみると、またしても一センチぐらいの小さな糞が部屋の中が落ちている。今回は、二か所にあった。前回と同じ固形の糞だ。おとといあたりから、砂場では、一度も糞をしていない。おそらくこれから先、糞は部屋の中にする事になるのだろう。きっと、…

八月十六日(土)

今日は休日。昨日、とにかく、一日中、家にいて、ぺいと同じ空間で同じ時間を少しでも多く過ごしたいと思った。もちろん、この数か月、いつも同じように思ってきた。だけど、今まで以上に、一分一秒でも多く一緒に過ごしたいと以前にもまして思った。もう奇…

八月十五日(金)

朝、起きると同時に真っ先にぺいの様子を確認した。緊張しながらの確認。死んでないだろうか?そんな心配が必要なまでに悪化している。良かった。新しい朝を迎えられて良かった。なんとか生きている。それにしても、健康であれば何気ない一日一日という時間…

八月十四日(木)

一目で、どう見ても容態が著しく悪化してきている事が分かる。見るに堪えない。ぺいの名前を普通に口に出す事さえ躊躇してしまう。なぜなら、名前を呼ぶと気を遣わせてしまう事は確実だし、気を遣わせてしまうと負担を掛けてしまうからだ。それでも、小さい…

八月十三日(水)

夜、またぺいを廊下に出してやろうと思って玄関のドアを開けてみた。いつもなら直ぐ外に出て行こうとする。でも、今日は、ドアが開いた事は、目で見て認識しているのに出て行かない。あれほど興味があった世界なのに、もう満足したのだろうか?きっと、好奇…

八月十二日(火)

夜、洗濯をしようと思った。実は、洗濯機は昔ながらの二槽式を使っている。単に壊れないから二十五年ぐらい使い続けているのだけど、二槽式の洗濯機は、簡単に洗濯漕の中に水だけを溜めた状態に出来る。この日、私は、洗濯機をそんな状態にしてパソコンに向…

八月十一日(月)

朝、起きると部屋の床に長さ一センチぐらいの小さな糞が落ちていた。ぺいの糞だ。深夜、動くのも辛くてトイレに行けなかったのだろう。固形の糞だったので臭いもなくて幸いだった。それにしても、部屋に糞をするなんて初めてだ。ぺいは飼い始めた日から何も…

八月十日(日)

休日なので母が来た。このところ、毎週、水曜と日曜日には、欠かさずぺいの様子を見に来てくれている。母は、電車で何度となく通院させていたら情が移ってしまって、以降、様子が気になって仕方がないと話してくれた。正直、そう言ってもらえると凄く嬉しい…

八月九日(土)

いつも通りに仕事を終えて帰宅。部屋で暫く過ごした後、あらためて外出しようと玄関に向かった。その時、少し床に違和感を感じた。何かと思って見てみると、血や腐敗したものが床に付着している。これは、ぺいが横たわっていた場所だ。下顎が完全になくなっ…

八月八日(金)

帰宅してみると部屋の中にぺいの姿が見当たらない。あれ?どこに行った?すると、バスルームの床の上で横たわっている。でも、声を掛けても全く反応がない。頭の中を嫌な予感が過ぎった。でも、近づいて良く見てみると大丈夫のようだ。少し焦った。本当に死…

八月七日(木)

今日もぺいとスキンシップをした。スキンシップは、毎日、大体、夜の十二時前後から三十分程というのが日課になっている。私は、いつものように、ぺいの名前をやさしく呼びながら首周りや体を撫でた。すると、いつものように尻尾を振ってくれる。痛くて辛い…

八月六日(水)

私の家は、ペット禁止の賃貸マンションなので猫が人目に触れると拙い。そういった訳で、ぺいと暮らし始めてから数年間は、一切部屋の外には出さないようにしてきた。でも、ぺいは、網戸の内側から外の様子を度々眺めていて、網戸には外に出たくてかどうかは…

八月五日(火)

既に下顎は腐敗で全て失われてしまった。そして、いよいよ腐敗は喉にまで達してきた。首には、大きな血管がある。もし、これから先、動脈に癌が達して血管が破れてしまったら大量出血するのではないだろうか?どれほど猫に血液があるか分らないけど、大量に…

八月四日(月)

以前にも増して舌の状況が悪化してきた。下顎がなくなり舌を思ったように動かせなくて辛そうにしている。喉も渇くから辛いと思う。癌で手術するまでは、水を飲み時には、お風呂場の水道の蛇口に舌をつけて飲む事が多かった。でも、今は、その蛇口に舌をつけ…

八月三日(日)

もう季節は完全に夏。そういえば、八月に入った頃から、あれほど臭っていた腐敗臭が急に消えた。ぺいの様子を見てみると下顎は完全になくなっている。そして、癌による腐敗は、ほぼ喉にまで達している。私は、もしかしたら、下顎の組織と喉の組織は少し異な…

八月二日(土)

母が再び蝉を捕まえてきた。でも、全く関心を示さない。母が、ぺいが歩いている時に蝉をぺいの背中の上に乗せた。折角、捕まえてきたのだし、そうすれば、さすがに、少しぐらい蝉の相手をすると思ったに違いない。すると、蝉は、ぺいの背中の上で、ゆっくり…

八月一日(金)

無情にも日に日に下顎の腐敗が進んでいる。もう、ほとんど喉にまで達してきている。もし、このまま腐敗が止まらなかったら舌が根本から抜けてしまうのか?もし、舌が抜けてしまったら生きてゆけるのか?舌がなくなってしまったら、完全に気道に湿りっ気のな…

七月二十八日(月)

癌の浸潤が影響しているのだろうか?目ヤニ以外にも、鼻の穴にも汚れた鼻水が固まって黒い瘡蓋が出来た。黒い目ヤニと、鼻の穴の黒い瘡蓋。もう、既に下顎は完全になくなってしまった。だから舌は下向きに反り返って外気に触れている。本当に酷い状態で見る…

七月二十七日(日)

母が蝉を摑まえてきた。今年は、我が家に来るたび毎回のように捕まえてくる。それにしても、今日、捕まえてきた蝉は、かなり元気が良い。ただ、この前までは、あれだけ目の色を変えて無邪気に遊んでいたのに、今日は遊ぶ時間が極端に少なかった。二、三回だ…

七月二十六日(土)

ついに、下顎の左側は全て腐敗してなくなってしまった。右側は、左側よりは進行が遅いけど八割ほど消失してしまっている。ぺいが寝ているときに口の中を見てみると、右側に何か白い棒状のものが突き出ている事が分った。いったいなんだろう?正直、パッと見…

七月二十一日(月)

ぺいが食事をする場所には、姿見用の鏡が置いてある。だから、食事をする時、鏡に映るのは自分の姿だという事、そして、鏡に映るのは、自分の後方の景色だという事を良く分っている。鏡越しに私の様子を観察するという事も良くあった。ぺいは、今、癌になり…

七月二十日(日)

今日は、ぺいとずっと一緒に過ごせる休日だ。そんな訳で、自宅にいると母がやって来た。母は、ぺいの事が気になるようで、ぺいが退院してからは、だいたい週に二回、様子を見に来るようになった。ところで、数年前の事になるけど、母が、蝉を捕まえてきた。…

七月十七日(木)

寝るとき以外の時間に、窓を常に開けっ放しにしていると、蛾とハエが入ってくるようになった。蛾は、日常生活では全く見慣れない。だから、初めて蛾が部屋の中に入ってきた時には、一体どこから?と不思議だった。ちなみに最初に部屋の中に入ってきたのは蛾…

七月十五日(火)

猫は、頭が水に濡れた時、自分自身の頭をブルンブルンと振り回して水気を振り払う。そんな感じで、最近、同じ要領で涎を振り払うようになった。涎には粘性があって、ツーっと長くなる。それが、口から垂れ下がると、うっとおしいのだろう。でも、ブルンブル…

七月十三日(日)

我が家には、空気清浄器が二台あって、それらを二十四時間、動作させている。それでも、下顎の腐敗が進むにつれて、何とも言い難い臭いが部屋中に充満してきた。私は、設置型の大きい消臭剤を四つ買ってきて、部屋の中に万遍なく置く事にした。そんな訳で、…

七月十二日(土)

ついに下顎が先端から六割程、腐敗してなくなってしまった。歯が抜け落ちたのが、六月の二十二日だった。まだ、あれからたったの二十日しか経っていない。それなのに六割もの顎の肉が既に腐敗してなくなってしまった。あまりにも早い。早すぎる。舌は、かろ…

七月十一日(金)

癌で下顎の腐敗が進んでいる。そして、腐敗した細胞は、膿になって血や涎と混ざって口から少しずつ滴り落ちている。それにしても、腐敗が信じられないほどのスピードで進んでいる。手術するまで癌は大きくなる一方だった。先生から手の施しようがないと言わ…

七月十日(木)

仕事から帰宅してぺいの顔を見てみると、左目から何やら汚れたような涙が出ている。ティシュで拭き取ってやると、案の定、ティッシュが少し黒く汚れた。涙自体が汚れている。一体何なんだろう?そして、その目の周囲には、汚れた涙が固まって目ヤニになって…