「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との戦い~

2014年3月 愛猫「ぺい」に、突然、癌が宣告されました。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見て頑張った記録です。
事実を、感じた事を、ありのままに全て残すことにしました。

ぺいとの楽しい生活

 再び電車に乗って自宅に戻ってきた。しかし、今度は、元気な子猫と一緒だ。そこで、猫の名前を考える事にした。子猫は雄。別に雄雌には拘らなかった。う~ん、そうだ!「ニャー王」にしよう。猫の王様、我が家の王様、猫の鳴き声と同じだしと思った。そうして、「ニャー王」と命名した。でも、暫くして思った。それは、名前がカッコ良すぎて何だか違和感があるという事だ。そして、何より「ニャー王」と声を出していると、私が猫のような気がしてくる。そもそも、ペット禁止なのに、「ニャー王」と呼んでいて、その声が、お隣さんに漏れたら、精神的に可笑しくなったと思われるか、猫を飼っている事がバレてしまうではないか!考えてみれば、なんと間抜けな名前だ。そう思うと早く名前を変えなければと思った。うむむ、どうしよう!猫とバレない名前で良い名前はないだろうか・・・、あっそうだ!「ぺい」にしよう。「ぺい」とは、本当に何の脈絡もない思い付きだった。友達に名前を報告すると、「ぺいって、支払うって意味でしょ?変な名前(笑)」なんて言われたりもした。でも、英語の意味なんて全然関係なかったのである。結局、「ニャー王」と呼んでいたのは、一緒に暮らし始めて三か月程だけだった。  

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 ぺいは、血統書を見ると、二〇〇三年二月十日生まれである。私と出会ったのが、同年四月二十七日だったので、生後、二か月と十七日目に出会った事になる。出会った時は、本当に小さくて手のひらに乗せて片手で軽々と持ち上げる事が出来た。そういった訳で、私が寝るときには、ぺいを寝室とは別の部屋に隔離するようにした。なぜなら、私が寝返った時、寝ているぺいを潰してしまったり、足で蹴飛ばしてしまうと命に関わると思ったからだ。そもそも、私も猫との暮らしでは、猫と一緒に寝るのが大きな夢だった。ぺいは、隔離されている夜、本当に凄く寂しそうだった。でも、体がある程度大きくなるまでは仕方ない。そう自分に言い聞かせた。そして、そんな日々が暫く続いた。その後、二か月ほど経った頃だったと思う。子猫の成長スピードには、目を見張るものがあった。まさに、体に取り込んだ食料の全てが余す事なく身体になっていると思えるような成長ぶりだった。こんなに一緒に寝られる日が早く訪れるとは!隔離を解禁する事にした。もちろん、自分が寝ているベッドと同じベットの上に猫が寝ていると、とても寝ずらいし、正直、熟睡なんて出来なくなった。でも、それ以上に猫と一緒に寝れる事の方が嬉しくて、数十年間、我慢してきた夢が叶ったと本当に感無量だった。

 そう言えば、寝るときの掛布団には楽しい思い出がある。それは、天気の良い日に布団を干すと、ふわふわして気持ちいい。そんな布団を部屋に取り込むと、ぺいは、一目散に布団の上に飛び乗って、気持ち良さそうに飛び回った。ふわふわした布団は、猫だって気持ち良いんだろう!それと、布団のシーツを洗って、シーツの中に布団を入れようとすると、今度は、そのシーツと布団の隙間に飛び込んできて、その中を楽しそうに眼を丸くして無邪気に走り回る。はっきり言って邪魔なんだけど・・・。もう、なんだかやってる事が人間と変わらない。猫だって人間と同じ。姿形は違うけど、言葉は喋れないかもしれないけど。それだけの違い。本当に楽しいと思った。

 でも、もちろん楽しい事ばかりでもなかった。人にも性格があるように、猫にも性格がある。ぺいは、九歳ぐらいの時から、夜、もっと餌が食べたいのに、私が寝ようと布団に向かうと、度々、私に向かって飛びかかってきて本気で噛みついてくるようなった。こういう時には、後方から向かってくるのが気配で分かる。だから、私は、飛びついてきたぺいを闘牛士のようにかわして布団に押し付け、お仕置きのつもりで、ぺいの前の両脚を持って五秒ほど布団に張り付けにした(私なりの愛情表現)。そして、その後は、結局、直ぐに頭をなでなでして餌を追加することになる。でも、こんな凶暴な性格は、正直、本当に勘弁してほしいと思った時もあった。ただ、私は、やっぱり、生き物は、良いところばかりでなく悪いところがあるからこそ愛らしく思えるのだと、次第に心境が変化していった。本当の愛おしさとは、人間に対しても猫に対しても、悪いと感じる部分があってこそ、初めて生まれるのだと思う。心のある生き物なのだから、当然、誰しもに良いと思う部分も悪いと思う部分もある。お互いが完璧でないからこそ、そこから、生きものとしての親しみが生まれるのだと思う。可愛いから愛おしいに。私がぺいを思う気持ちは、年月を重ねるごとに深くなっていった。