六月十六日(月)
最近のぺいは、かなりの時間、水の入った器のある場所で過ごすようになった。これはあくまで推測になるけど、癌で腐敗している患部が熱を持っているのを冷ましたり、上顎や喉の渇きを水分で潤したいように感じられる。それで、私は、毎日欠かさず三十分程、一緒に水場でスキンシップをするようになった。水場で過ごしているぺいに、やさしく名前を呼び掛けながら頭や体を撫でてやると、時々、私の方に顔を向けてくれる。その顔を向けてくれるタイミングや表情が、凄く私の気持ちに応えて反応してくれているように思える。いや、もっと、それ以上に気遣いをしてくれているようにさえ思える。ぺいは、癌の痛みや死への恐怖に立ち向かうだけでも精一杯のはずだ。それなのに・・・ありがとう、ぺい。そんな事を思うと、なおさら、ぺいの事が心から愛おしい。守ってやりたい。ぺいを絶対に失いたくない。そう心に強く思った。