「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

八月十七日(日)

朝、起きてみると、またしても一センチぐらいの小さな糞が部屋の中に落ちている。今回は、二か所に見つけた。前回と同じ固形の糞だ。一昨日あたりから、砂場では、一度も糞をしていない。おそらくこれから先、糞は部屋の中にするのだろう。砂場まで移動するなんて、凄く大変なはずだ。しかし、驚きなのは、糞は部屋の中で済ませても尿の方は必ず砂場で済ませてくれるという事だ。糞も尿も砂場まで行く事には変わりないのに尿を部屋にしてしまうと迷惑を掛けてしまう。ぺいは、そんな事まで考えてくれているのだろうか?こんなに辛い状況なのに、自分の事だけでなく、私の事も考えてくれているのか?本当に最後の最後まで・・・。私は思った。ぺい、お前の事なら、なんだって許せるのに。なんでも許してやるのに・・・。本当に本当にありがとうな。部屋に落ちていた糞の処理をしながら心の中で何度も思った。一体、私は、今まで、どれだけぺいの事を考えてきただろうか?ぺいが私の事を意識してきた気持ちの深さや広さに比べたら、私なんて、本当に浅くて遠く及ばなかった。ぺいの事を、もっともっと大切に、もっともっと深い愛情で包んでやれば良かった。

 

それと、一週間程前から就寝後の深夜にも、ベッドから下りたりベッドへ上がったり、部屋の中を徘徊したりする事が徐々に増えている。それが、昨夜については、殆ど一晩中それを繰り返していた。きっと、痛みで、ゆっくり寝てもいられなかったのだろう。正直、私もそんなぺいの様子が気になって、特に昨夜は、殆ど眠れなかった。もう、かなり寝不足が溜まっている。正直、辛い。でも、ぺいの辛さに比べれば辛いの「つ」の字を語る事すら遠く及ばないだろう。どんなに辛くたって、大好きなぺいの辛さの一部でも共有出来ているかと思えば嬉しさすら感じる。だから、この先、どんなに辛くても絶対に頑張ろうと思った。そうして、そんな思いを胸に会社へ向かった。そして、その後、仕事終え足早に帰宅してみると、日中、さらに容態が悪化の一途を辿ったようで、ぺいは、水場で鼻も水に浸かるばかりに、なりふり構わず上顎を水の中に浸けている。見ていると、水の中から少し顔を上げて、それで息継ぎをした。そして、再び水に浸けるという動きを繰り返している。目も苦しそうに一点を見つめるように顔を上げ下げしている。何もかも本当に見るに堪えない。そばで寄り添ってやる事すら負担を掛けてしまう。そんな状況にさえ思えてきた。