「神様からの贈り物」

~扁平上皮癌との闘い~

まだ数年は続くと思っていた、愛猫「ぺい」との平凡な日常。
しかし、その後の誤診と突然の癌宣告...。
それでも、再び元気になれる奇跡を一緒に夢見た記録です。

2015-01-01から1年間の記事一覧

六月五日(木)

最近のぺいの食事は、鳥のモモ肉や豚肉、そして、マグロやサバを軽めに湯通ししたものを、食べやすいように細かく微塵切りにして与えてきた。でも、唯一、一本だけ残っている前歯が、さらに、手前に傾きつつあって、その歯もグラグラしている。それで、食べ…

五月二十八日(水)

仕事から帰宅すると、ぺいが、いつものように出迎えてくれた。嬉しい。この平凡な日々が、本当にどれだけ幸せな事かと心底思う。でも、そんなぺいの姿が朝出掛けた時と違っている。あれ?黄色い布を首元に纏っている。おしゃれ?いや、何やら涎掛けのようだ…

五月二十六日(月)

退院後、食事の量は、徐々に回復したけど、それでも歯を含む顎の半分を失った影響で食べ物を口の中に運びにくくなっている。そういった事も影響しているのだろう。元気な頃と比べると微妙に食事の量が減っている。そこで、退院後は、口からの食事を十分に終…

五月二十五日(日)

十五日に注文して、到着を凄く楽しみにしていた胃瘻チューブ用のポケットがついたニットが届いた。少し到着までに時間が掛ったけど、一つ一つが手作りのようなので仕方がない。ちなみに、胃瘻チューブ用のポケットは、脇腹のところについている。普段は、そ…

五月二十四日(土)

母がぺいの様子を見に来た。手土産は鶏のモモ肉と豚肉。母は、湯通しした肉を食べやすいように細かく千切って食器に入れてくれた。その途端、それをぺいは我を忘れたかの如く凄く嬉しそうに食べ始めた。おぉ~!何という食欲。きっと、母は、生きている間に…

五月二十三日(金)

涎が凄い。一時的に止まる事はあっても、四六時中、涎を流している。そして、その涎は、ぺいの胸元あたりに付着したり床に落ちたりしている。床に落ちた涎は、拭き取れば良いけど、胸元に付着した涎は、その部分に温水を当てて洗ってやらないと簡単には取れ…

■第三章 余命

余命。その意味は誰しも理解出来る。しかし、どれだけ余命というものを身近に感じているだろうか?もしかしたら、どんなに元気であっても数時間後には、この世にいないかもしれない。私は思う。もし、生まれたと同時に余命が宣告されていたらどうだろうか?…

五月二十二日(木)

今日は放射線治療の八回目。長かった治療も予定通りだと今日で最後になる。四月十日の二回目の通院から、ずっと母にお願いしてきたけど、最後は、先生が今後の治療方針について相談したいとの事なので、私が、行くことした。ちなみに、この一週間は、それな…

五月十五日(木)

七回目の放射線治療日。放射線治療も残すところあと二回。今週の様子は少しだけ元気のない日があったぐらいだ。きっと、放射線治療の影響で身体がだるいのだろう。でも、食欲の方は順調だ。退院して暫くは、昔のように食事をしてくれなかったけど、このとこ…

五月十日(土)

この日は、東京の市ヶ谷に用事があったので出掛けた。市ヶ谷には、市谷亀岡八幡宮という神社がある。この神社は、都内一のペット祈願神社で、かの生類憐みの令を発布した五代将軍綱吉の母の寄進に端を発する神社との事。もちろん折角なので立ち寄る事にした…

五月八日(木)

六回目の放射線治療日。今週も、食事も元気さも全て問題ない。放射線治療も残すところ三回の予定だ。気候も少し陽気になって過ごし易くなってきた。ぺいもベランダに出て外の空気に触れる時間が長くなっている。もし、手術をしていなければ、今年、新緑の風…

五月一日(木)

五回目の放射線治療日。今日から五月だ。四月の桜の景色のカレンダーを捲ると、五月の新緑の景色のカレンダーが目に飛び込んできた。ぺいと私が、いつも一緒に過ごしている部屋に掛けてあるカレンダー。過ぎ去った月のカレンダーを捲って、新たな月の景色を…

四月二十四日(木)

四回目の放射線治療日。今週は、もうすっかり元気だった。癌になる前と全く変わらない感じだ。この状態が、十日程前から続いている。ただ、口からの食事の量は、昔と比べると六割程だ。だけど、シリンジからの食事の注入は、二十一日から少し中断している。…

四月十七日(木)

三回目の放射線治療の日。今日は、CTスキャンも予定している。ところで、先生への嬉しい報告と言えば、最近、口からの食事量が急激に増えたということだ。もちろん癌になる前と比べると少ない。だけど、それでも六割程度にまで回復している。以前と比べて…

四月十日(木)

再び放射線治療の日がやってきた。今回の通院からは、当初の予定通り、母にぺいを病院に連れていってもらうことにした。私も休暇を取ろうと思えば取れなくもないけど、さすがにこれ以上、何度もペットの事で有給を取る訳にもいかないからだ。それにしても、…

四月六日(日)

季節は春。部屋の外は桜が満開だ。もし手術をしていなければ、三月十五日から食事を食べられなくなっていたから、今日までは、生きていられなかったはずだ。だから、術後の経過も、まだ決して落ち着いてはいないけど、ぺいに桜を見せてやりたかった。もちろ…

四月三日(木)

今日は二回目の放射線治療の日。病院を退院してから八日が経過した。この一週間、口から食事は、ほぼ食べなかった。入院中には食事をしたと聞いていたけど、退院してからは、以前の食事量を百だとすると、良く食べた時でも三ぐらいで、特に、三月の二十八日…

三月三十日(日)

日曜なので仕事は休み。今日は、一日中、ぺいと一緒に過ごそうと決めていた。大切なぺいが、癌によって命を奪われる心配がなくなる日まで、とにかく一分一秒でも多くの時間を一緒に過ごしたかったからだ。それと、これから先、休日は、極力予定を入れないよ…

三月二十八日(金)

先日注文していた冬虫夏草の粉末が配達されてきた。この冬虫夏草は、動物用として獣医師も推奨している商品のようで、値段は約八千円。二週間分程度の量が入っている。製品のホームページには、ピンポイントで扁平上皮癌の治療に効果が見られたという事例は…

三月二十六日(水)

今日は待望の退院日。入院期間は、結局、ほぼ予定通りの十日間になった。それと、また、ぺいと一緒に暮らせるかと思うと、朝から嬉しくて仕方なかった。退院手続きは、朝の九時に来て下さいとの事だったから、仕事は、急遽休暇を取った。そして、九時前に病…

三月二十五日(火)

病院から電話があった。手術後、面会に訪れた二十三日の日に、口から初めて少しだけ食事をしたとの事。そして、昨夜は結構食べたので、明日以降であれば退院可能になりますとの連絡だった。念のため聞いてみた入院費は、やはり、入院日数によって加算される…

三月二十三日(日)

今日は、入院当初から母と一緒に面会に行く約束をしていた日。手術から五日経過したので、きっと、術後の痛みもある程度治まって、周りの環境にも慣れてきた頃に違いない。この日は、ぺいと、たっぷり一緒の時間を過ごしたかったから、面会開始時間と同時に…

三月十九日(水)

今日は面会に行く日。たったの丸一日ぶりに会うのに、朝から再会出来るのが凄く嬉しかった。手術は、昨日の夜に終わったばかりだから、まだ手術から二十四時間経過していない状態での面会になる。実は、私も全身麻酔の手術をしたことがある。だから、人間と…

三月十八日(火)

やっと待望の手術日を迎えた。T動物医療センターには、手術日が、週に二日ある。そして、手術日には、外来診療は一切なく終日手術のみがおこなわれる。私は、少しでも早い時間に手術してほしいと思ったので、そのように希望を伝えてみた。なぜなら、なかな…

三月十七日(月)

いよいよ、今日は待ちに待った入院の日。朝、起きて目を開けてみると、びっくりだった。何と、ぺいが、久しぶりに私と同じ枕で寝ていたのだ。ぺいが、枕で寝るときは、枕の横の部分に頭を乗っけているのが定位置。だけど、涎が出るようになってからは、枕で…

三月十六日(日)

今日も一日中、何も口にしなかった。昨日から丸二日間、何も食べていない。そう言えば、地元の病院の先生が、もし、手術をしなければ、今月いっぱいの余命と言っていた。今、まさにそれが現実として感じられるようになってきた。猫の絶食は人間と違って三日…

三月十五日(土)

きっと、猫は食べるという事が、間違いなく人間以上に幸せな事の一つなんだろうと思う。私は、もしかしたら扁平上皮癌かもしれないと感じた日から、ぺいが大好きだった食べ物を、とにかく惜しみなく与えるようにしてきた。たとえば、ペット用のおやつとして…

三月十四日(金)

昨晩は、色々と考え事をしていた。それで、幾つか質問したい事が出てきたので、手術前の相談という事で担当の先生宛に電話をした。この日から、病院とのやり取りは、T動物医療センターに変わった。一つ目は、癌が根治して寿命が数年単位で伸びる可能性につ…

T動物医療センター

全ての生き物に必ずいつかは訪れる死。そんな事は分っている。だけど、そんな事、意識する事もなく過ぎ去っていった時間。その過ぎ去っていった時間は二度と繰り返されない。それは、これから訪れる時間でも同じこと。ぺいは、あと、どれ位、この世にいられ…

三月十二日(水)

ぺいは、ベランダに出て外の景色を眺めている。猫だって早朝の朝日と澄んだ空気はきっと気持ちが良くて、それを全身で感じているのだろう。ぺいの目線の近くでは、小鳥が「チッチ」、カラスが「カァカァー」と飛んでいたり、眼下に人や車が忙しなく動いてい…