プロローグ
「ぺい、ごめんな」「ぺいちゃん、ごめんな」
「本当に本当に、苦しい思いをさせてごめんな」「大好きなぺいちゃんの命を強制的に絶つなんて事、どうしても出来なかったんだよ」「ごめんな、ぺいちゃん」「ぺいちゃん」「生き返ってくれ」「もう少し一緒に居てくれよ」「ぺいちゃん」
いくら悲しんだって、いくら望んでも、もう、ぺいは戻ってこない・・・ぺいちゃんは・・・。「ぺいちゃん、どうしたら良い?」「なぁ?ぺいちゃん?」
二〇一四年、私は、十一年と少し生きた「ぺい」と命名した最愛の猫を癌で失いました。私には、子供がいません。でも、我が子を失った時と、全く変わらない深く長い悲しみを経験したと思います。そして、その後、生きるという事の意味や価値、また、死後の事などについて、本当に真剣に考える機会がありました。
人と猫、姿容は違っていても、たくさんの愛情を人間から注いでもらった一匹の猫が、この世に存在しました。そして、痛みに耐えながらも、最期まで精一杯生きたという事実を、少しでも多くの人に知ってもらいたい・・・、そんな思いを強く抱いた人間が存在しました。
私は、ぺいの事が、いつまでも大好きです。だから、ぺいとの思い出を永遠に残しておきたい。そうすれば、それこそが、本当に最後に届けられる愛情にもなるし、この世に生まれてきてくれて、「ありがとう」という気持ちを、永遠に届けられると思ったのです。
そして、これから先の未来、私の残した記録によって、誰かの心に、もし何か一つでも届けられるものがあれば、私は、この上なく嬉しく思います。もちろん、その時は、ぺいだって、虹の橋のたもとで、尻尾を振って喜んでくれているはずです。私は、それが、何よりも嬉しいのです。
ぺいちゃん、本当にありがとう。
二〇一五年九月五日
【一周忌の時(二〇一五年八月二十三日)】